『シンデレラ・ティース』

歯医者さんを舞台にした日常系ミステリーです。

主人公は、幼い頃のトラウマで、歯医者さんが大の苦手のサキ。

しかし、母親の策略で、夏休みに歯医者さんの受付アルバイトをすることになってしまいます。

初めはビビっていたサキですが、個性豊かで優しいスタッフの皆に囲まれ、次第に溶け込んでいきます。

クリニックに持ち込まれるのは、虫歯だけでなく、患者さんの心に隠された秘密もありました――。

どんなに丁寧に接客しても怒る患者さん、毎回遅刻してくる患者さん、彼氏との旅行を頑なに避け続ける女性……。

これらの謎を、歯医者さんならではの知識で細やかに解決していく様子が面白かったです。

また、歯医者さんが怖いのは「歯科治療恐怖症」という医学書にも載っているれっきとした病気があるという事実にも驚きました。

本書に登場するサキが勤める歯医者は、患者さんを「お客様」と呼び、診察件を「メンバーズカード」として扱います。

室内はもちろんオシャレなインテリアで、トイレとは別にパウダールームも完備されていました。

歯医者にくるというより、エステサロンやスポーツクラブに来るような感覚で利用してほしいそうです。

歯医者さんの仕事に対する誇りや思いが伝わってくるのはもちろん、サキが丁寧に仕事をこなす様子もとても好感が持てました。

作者の坂木司さんは、人の死なないミステリーをたくさん執筆されていて、ほのぼの読めるところが大好きなのですが、本書もゆったりと楽しむことができるミステリーでした。面白かったです!